シニアと学生の世代間交流プログラムの普及を目指して  石橋鍈子 

同窓生石橋鍈子さんの活動をご紹介します。

石橋さんはNPO法人リブアンドリブを運営。

シニアと学生の異世代が共同生活をして新しい絆をつくってゆく世代間交流プログラムを日本で始め、その普及に東奔西走する日々です。
  

 

2015年4月10日クロワッサン

一人暮らしのシニアが増加する中、元気で普段は何の不自由も感じなくても、万一の時のことを不安に感じるシニアは少なくないでしょう。

一方、若い世代においては、経済的な理由で自宅から通えない大学への進学を諦めるケースが増えています。

これから更に増えるだろうと予想されるこうした問題を解決する試みの一つが「世代間交流ホームシェア」です。

そして、2012年にNPO法人リブ&リブを立ち上げ、この試みを精力的に進めているのが石橋鍈子さんです。

 

石橋さんは操山高校を卒業後、単身アメリカの大学に留学します。

海外に渡航する日本人も、大学に進学する女性も非常に少なかった時代です。

様々な障壁があったことは想像に難くないのですが、さらりと実現させてしまったのは、やりたいと思ったことは万難を排して実現させる実行力と意志の強さをお持ちだからでしょう。

 
その後、別の大学やハーバードのイェンチン東アジア研究所をへて、アメリカでの経験と知識を米大使館に買われて、大阪万博の米パビリオンで勤務。

そのまま米大使館に勤務し、米要人来日時のアテンド他、国際交流に携わります。

 

 



「レーガン夫人やパパブッシュ夫人、カーター親子のお相手をさせていただいたわ。そうそう、大統領夫人時代のヒラリー・クリントンさんの訪日のお手伝いもね」

 さらに日本マイクロソフト㈱で社会貢献事業を担当。

そうそうたる経歴をお持ちの石橋さんですが、意外にも仕事を自分で選んできたわけではないと言います。

「これをやってみませんかって声をかけてくださる方が、いつもちょうどいいタイミングで現れるの。私は、声をかけられるままに動いてきただけなのよ。私でお役に立てるのならってね」


 そう謙遜される石橋さんですが、それも全て、それぞれの立場で目の前のことに真剣に向き合い、確固たる知識と経験を積み重ねてこられたからでしょう。

 

「わたしがこの『世代間交流ホームシエア』と出会ったきっかけは、長年勤めた会社を退職したことだったの。

職場ではいろんな世代とつきあっていたのが、引退した途端、顔を合わせるのは高齢者ばかり。

会話が広がらず孤独を抱え込んでいた頃、偶然に手伝った若者のイベントで気づかされた。
日本の高齢者にはもっとこんな場が必要だと強く感じたのね」


それ以来石橋さんは、世代間交流の手がかりを求めて欧米・アジア数十か国を調査研究で訪れました。そしてスペイン・バルセロナでこの取り組みを知り、次いでフランス・パリでも同じ取り組みに出会いました。

ヨーロッパではこれら取り組みのおかげで多くの独居高齢者に安心安全の生活がもたらされ、健康寿命が伸びて、地方から都会にでてくる多くの若者が助かっているのです。

 
この写真はバルセロナで異世代間同居を楽しむ94歳のベロニカとシェアメート

欧米では多くのペアが異世代間同居を楽しんでいます。

実際の活動においては、既に2回のパイロットケースを実施。

1回目は84歳男性シニアと28歳男性大学院生のペア、2回目は60代のご夫婦と20代女子学生のペアです。

2回ともシニア・学生双方から喜ばれ、パイロットケースとしては大成功だったそうです。

「話し相手ができることで、一人暮らしのシニアの方には生きがいが生まれる。

自分の経験を聞いてもらえるのって、すごくうれしいことだもの。

若い世代は経済的に助かるし、経験と知識の豊かなシニアと一緒に生活することで学ぶこともいっぱいあると思う。

第一、親御さんも安心よね、自分の大切な息子や娘のそばに身元のしっかりした信頼できるシニアがいてくれるんだもの」

一方で、活動をさらに広めていくには、解決しなければならない様々な問題もあるようです。

「一番の悩みは、受け入れ先のシニアがなかなか見つからないことね。若い人にはシェアハウスなんかも人気だけど、シニア世代には、自分の家に家族以外の人を入れることに抵抗を覚える人が多いの。

でも一歩踏み出して、ぜひ一度試してみてほしい。誰かの役に立ってると思えるだけで、これからの人生がずっと楽しくなると思うわ。人生まだまだ長いんだもの。

いろいろ不安もあるかもしれないけど、それを解消するために私たちがいるの。

同居開始までに何度も面接して最適なマッチングをご用意するし、同居が始まってからも訪問や電話相談などアフターケアは万全よ。気になることがあれば、何でも相談していただきたいわ。いきなり長期の同居が心配なら、短期のプログラムから始めていただいてもいいと思う。

ホームシェアすることで、大切な自宅でずっと長く暮らせるなら、これほどいいことはないでしょう

興味がある方は、ぜひ他世代交流会やランチ会にいらしていただきたいわ」

 

シニアも若い世代も、お互いに相手の役に立ち、それを日々の暮らしの中で実感することで幸せになれる。「世代間交流ホームシェア」には、そんな効果もあるのでしょう。

自身の経験をふまえ、石橋さんは力説します。

「アメリカで暮らして思ったの。国と国の違いは確かにあるけれど、根本的には人間はみな同じ。大切なのは理解することだと身を持って学んだ。異なる国同士が少しでも理解し合えるように、長く国際交流の仕事に関わってきたけど、これからは、異なる世代同士が理解し合えるお手伝いがしたいの。理解が大事だというのは、国際交流でも世代同士が交流でもおんなじだもの」

 少女のようにキラキラとした瞳で石橋さんは語ります。

「願っていることは必ずかなう。そう思ってやってきたし、今もそう思っている。だから、世代間交流もきっとうまくいくと思うのよ」

 

時々「うふふふ」と笑って子供のような嬉しそうな表情の石橋さんは、最近ドラムを始めたそうです。

たくさんのマスコミに取材されて、お忙しい時間の中ですが、テレビ局の取材でスペインの取材が始まりそうです。

世代間交流の動きは国や地方公共団体にも注目を集めており、夢の実現まできらきらしたまなざしが連れていってくれることでしょう。


 
 世代間交流に関する国際会議の模様です。

 

母校 岡山操山高校での講演の模様です。



 

NPO法人リブ&リブ

NPO法人リブ&リブが行っている「世代間交流ホームシェア事業」は、

日常的にあまり接点のない、シニアと大学生の同居によって、 新しく生まれる「血縁をこえた絆を作る」ことを目的としています。

 

かつての「下宿」とは違い、シニアと大学生が同等の立場で支え合い、毎日を楽しみに生きていける新しい社会への一歩になる事業です。

 

仕組みは、大都市に住む一人暮らしの自立したシニアの自宅に、 地方から就学のために都市に出てくる大学生が同居するというものです。 日中は各々が自由に行動し、週に何日か夕~夜の時間を共に過ごして親交を深めます。

 

私たちNPO法人リブ&リブは、この同居生活が円滑に進むよう、毎月専門コーディネータが潤滑油としてシニア・学生両方の相談相手となり、同居生活が完了するまでのサポートをさせていただきます。

ホームページはこちらです。
 

NPO法人リブ&リブは世代間交流ホームシェア事業「あんさんぶる」を企画・運営しています。

 

少子高齢化が進む現代、都市部に居住するシニア世帯の社会的孤立が大きな問題となっています。

また、学費の高騰により地方の学生が首都圏で高度な教育を受けづらいという格差も発生しています。

 

「あんさんぶる」はバルセロナやパリなど欧米で行われている事例を参考にしながら企画した、首都圏の

自立した独り住まいのシニアのお宅に就学のため上京した学生が同居するボランティアプログラムです。

日頃、接点の少ないシニアと学生との同居によって「血縁を超えた絆」をつくることを目的としています。

下宿やシェアハウスという形での同居とは違い「ホーム」をシェアするということ、すなわちシニアと学生が

対等の立場でそれぞれの役割を持って補い合い、支え合いながら生活をすることで、「自分の存在が

誰かの役に立っている」、「自分の存在が誰かに必要とされている」という前向きな気持ちで日々を

送れることが「あんさんぶる」の最大のメリットであると考えています。

シニアにとっては万一のときの不安が解消される、買い物などを手伝ってもらえるというメリット、

学生にとっては経済的な問題を心配せず勉学や自己投資に励むことができるというメリットがあります。

なおシニアは介護を必要としない方のみ募集しているため、学生が入浴介助などを行うことはありません。

 

私たちの活動は単にシニアと学生を仲介するのみならず、面談や食事会、毎月の近況報告などにより

双方の希望(楽器を使用したい、猫が苦手であるなど)になるべくマッチするペアを探すという点で、企業が営利目的で行う同種の事業とは異なるとして各メディアで高く評価されています。

これまでクロワッサン、朝日新聞、日経新聞、山陽新聞、NHK、テレビ東京などで紹介されました。

NPO法人リブ&リブは、一人でも多くのシニアと若者の笑顔を見られるよう頑張って参ります。




同窓生からのコメントお待ちしています。
卒業年度ご記入ください。


コードを入力してください。:

メモ: * は入力必須項目です